ステライト・トリバロイ
コバルトベース

  1. TOP
  2. ステライト・トリバロイ

01

ステライト

摩耗と熱に強く、長寿命を支えるコバルト系合金

ステライトとは

コバルトを主成分とし30%程度のクロム、4~15%のタングステンを含み、その他モリブデンや炭素などを含む合金です。摩擦係数が低く、耐磨耗性・耐腐食性・耐高温耐摩耗性に優れており、これらの特性をバランスよく持っているのが特徴です。HRC35~58までNo.21、No.6、No.12、No.1、No.20の5種類が標準的なライナップとなっており、その他に特殊品が数種類ありますが、用途に応じ最適な材料をご提案いたします。

ステライトの種類(代表例)

ステライトNo.20 ラインナップ中最も高硬度だが靭性は落ちる。
ステライトNo.1 非常に硬く、耐摩耗性が非常に高い。
ステライトNo.12 No.6より硬く、No.1よりも靭性がある。
ステライトNo.6 汎用性が高く、硬度と靭性のバランスに優れている。
ステライトNo.21 耐食性や、耐熱性に特に優れている。

ステライトの化学的成分(重量%)(代表例)

品名 Co
(コバルト)
Cr
(クロム)
W
(タングステン)
C
(炭素)
Fe
(鉄)
Ni
(ニッケル)
Mo
(モリブデン)
特徴
No.20 Balance 33.0 - 36.0 17.0 - 20.0 2.8 - 3.2 < 3.0 - < 1.0 ステライトの中でも
最高硬度
No.1 Balance 30.0 - 33.0 11.0 - 13.0 2.0 - 3.0 < 3.0 < 3.0 < 1.0 高硬度、耐磨耗性
No.12 Balance 27.0 - 31.0 7.5 - 9.5 1.2 - 1.7 < 3.0 < 3.0 < 1.0 高硬度、靭性バランス
No.6 Balance 27.0 - 31.0 3.5 - 5.5 0.9 - 1.4 < 3.0 < 3.0 < 1.5 高靭性、汎用性
No.21 Balance 25.0 - 30.0 0.5以下 0.2 - 0.4 < 3.0 < 3.0 4.5 - 6.5 耐食性、高温靭性

ステライトの物理的・機械的性質

高硬度・耐摩耗性 非常に硬く、金属同士の摩耗や粒子摩耗に強い。
耐熱性・熱安定性 融点は約1,200~1,250℃。500℃までは機械的性質や強度が低下せず、高温下でも高い性能を維持できる。
耐食性・耐酸化性 クロムを含有しているため、化学プラント、海水などの厳しい環境下でも錆びにくく、高い耐酸化性を示す。
機械的特性 引張強さがあり、ステライトNo.6で約920N/mm² 、No.12で約970N/mm²を示す。

ステライトの主な用途例

産業用バルブ・配管

高温・高圧環境下の弁座(シート)、弁体、スリーブ

自動車・エンジン

内燃機の排気バルブ、ターボチャージャー部品

産業用機械・工具

製紙・合板用カッターナイフ、チェーンソーガイドバー、粉砕機、スクリューのブレード(耐摩耗・耐食・耐熱性が必要な部分)

航空・エネルギー

ガスタービンブレード、航空機のランディングギア

医療・その他

外科用インプラント(人工関節)、ガラス瓶製造用部品、カスタムナイフ

加工実績を見る

02

トリバロイ

かじり・摩耗に強く摺動部を守るコバルト系合金

トリバロイとは

コバルト基、ニッケル基が主成分となり、ステライト同様に高い耐摩耗性や耐腐食性を持っていますが、モリブデンの含有量が高く、特に高温高圧化での金属間のかじりなどの凝着磨耗対策として有効です。 HRC55~60まで、T400、T800の2種類のライナップが標準です。

トリバロイの種類(代表例)

Tribaloy T-400 最も一般的に用いられるタイプで、耐摩耗性と耐食性のバランスが良い。
Tribaloy T-800 優れた強度と耐食性を併せ持っている。

トリバロイの化学的成分(重量%)(代表例)

品名 Co
(コバルト)
Cr
(クロム)
Mo
(モリブデン)
Si
(ケイ素)
Fe
(鉄)
Ni
(ニッケル)
C
(炭素)
特徴
T-400 Balance 7.5 - 10.0 27.0 - 30.0 2.0 - 3.0 < 1.5 < 1.5 < 0.08 基本合金。耐焼付性・耐摩耗性に優れる
T-800 Balance 16.5 - 18.5 27.0 - 30.0 3.0 - 4.0 < 1.5 < 1.5 < 0.08 高温耐摩耗性・耐酸化性を強化したもの

トリバロイの物理的・機械的性質

高硬度 金属間化合物(Laves相)を約50%含む構造を持ち、HRC 50〜60以上の非常に高い硬度を室温から高温領域まで維持する。
低摩擦係数 潤滑が困難な環境でも、金属同士の接触による焼き付きを防止する優れた自己潤滑性(耐凝着性)を示す。
高耐熱性 800℃〜1000℃を超えるような高温環境でも、硬度や強度がほとんど低下せず使用できる。
高耐食性 クロム、モリブデンを高含有しており、酸や塩水などの過酷な腐食環境においても優れた安定性を示す。

トリバロイの主な用途例

エンジン・タービン

ターボチャージャーのベアリング、自動車用エンジンバルブシート、航空機エンジン部品

バルブ・ポンプ

高温高圧下のバルブシート、シールリング、ポンプのケーシング、羽根車

機械部品

スリーブ、軸受、押出スクリュー、押出ダイス、切断刃

プラント設備

化学プラントの撹拌軸、石油・ガス掘削ツール、ゴミ焼却炉部品

その他

ガラス金型、シーミングロール(缶製造)

特に、硬い粒子が凝着・摩耗を引き起こすような厳しいドライランニング環境に有利とされています。

加工実績を見る

よくあるご質問(Q&A)
硬化肉盛り溶接の受託加工について

Q1. 硬化肉盛り溶接とは何ですか?普通の溶接と何が違うのですか?

A.

硬化肉盛り(ハードフェイシング)は、摩耗・腐食・熱などに強い特殊合金を母材の表面に溶融被覆する溶接技術です。通常の溶接が「部品同士をつなぐ」目的であるのに対し、硬化肉盛りは「表面の耐久性を高める」ことを目的としています。コバルト合金・ニッケル合金などの高性能材料を被覆することで、摩耗寿命の延長や腐食環境への耐性向上が期待できます。

Q2. どのような部品・用途に向いていますか?

A.

摩耗・焼き付き・腐食・熱の影響を受けやすい部品全般に有効です。具体的には、高温高圧バルブ(スライドバルブ・排気弁)、スクリュー、ポンプ部品、各種ロール、ローラーなど生産ラインの消耗部品が代表例です。「交換するたびにラインを止めるのがコスト的に痛い」「点検サイクルの間、確実に耐えてほしい」という場面でよくご相談をいただきます。

Q3. 加工できるかどうか、まず相談だけでもできますか?

A.

もちろんです。ただし「できますか?」とだけお問い合わせいただいても、図面や現物を拝見しないとお答えできないケースが多いのが実情です。素材・形状・使用環境・要求精度などをできる限りお教えいただけると、初回のご回答がより具体的になります。まずはお気軽にご連絡ください。

Q4. 材料(合金の種類)はどうやって選べばよいですか?自分では判断できません。

A.

材料選定は「摩耗の形態」「使用温度」「腐食原因」などの要素を総合的に判断します。例えば、摩耗でお困りの場合、焼き付き・かじりが激しい環境の場合、塩酸や硫酸などの強酸環境の場合、など条件によって様々なご提案となります。設計担当者様が材料を決めていなくても、使用環境の情報をいただければ弊社からご提案することも可能です。

Q5. ステライト・トリバロイ・コルモノイ・ハステロイ・インコネルの違いを教えてください。

A.

それぞれ「効く摩耗・腐食の種類」が異なります。

ステライト:
硬化肉盛りの第一の選択肢です。幅広い耐摩耗・耐食性を持ち、まず最初に検討する合金です。
トリバロイ:
かじり・焼き付きへの耐性が特に優れます。石油・自動車・内燃系バルブなどで実績があります。
コルモノイ:
融点が低く自溶合金の性質から、特殊な母材や形状に適しています。ひっかき摩耗に強く、ニッケルベースで耐食性も備えます。
ハステロイ:
塩酸・硫酸など極めて厳しい腐食環境向けの超耐食合金です。
インコネル:
1000℃を超える環境でも高い強度を維持し、航空宇宙、原子力、化学プラントなどで多用されます。

Q6. 硬化肉盛りをすると、必ず部品の寿命は延びますか?

A.

適切な材料・工法・施工条件を選べば、寿命が延びることはほぼ間違いありません。ただし、初回から最適解が出るとは限らず、実務では試行錯誤を経て結果を出すことも少なくありません。「必ずこれだけ延びる」と数値で断言することは難しいですが、その分、施工後のフィードバックを次の改善につなげる経験と知識を蓄積しています。

Q7. コスト面でのメリットはどのように考えればよいですか?

A.

「加工費 vs 部品交換コスト」で単純比較するだけでなく、「交換のたびにラインを止める時間」「交換作業の人件費」も含めてトータルで評価することをお勧めします。硬化肉盛りの加工費よりも部品をそのまま交換する方が安い場合もあれば、逆に肉盛りで大幅なコストダウンになる場合もあります。評価軸を明確にした上で判断することが重要で、弊社でも費用対効果の考え方についてご相談に応じています。

Q8. 摩耗した部品の「再生」にも対応していますか?

A.

はい、摩耗・損傷した部品への硬化肉盛りによる再生加工のご依頼は近年特に増えています。ただし再生加工は「できるかどうか」の判断が図面や現物を見て初めてわかることが多く、また「再生するコスト」と「新品に交換するコスト」を比較してあえて再生しない方がよいケースもあります。まずはご相談いただき、コストパフォーマンスも含めてご提案します。

Q9. 「ひずみ・変形」が心配です。精度はどこまで保証できますか?

A.

硬化肉盛りでは、溶接時の熱によるひずみ・変形は避けて通れない問題です。弊社では「この形状・このサイズならこのようにひずむ」という長年の施工経験に基づいたノウハウを蓄積しており、ひずみを見越した加工工程を設計した上で施工します。仕上げ精度が必要な場合は、肉盛り後の機械加工も含めたトータルでの工程設計が可能です。

Q10. 航空・原子力など、品質保証が厳しい分野にも対応できますか?

A.

一定期間、確実に耐久することが求められる用途にも対応しています。施工要領書に基づいた品質管理・条件の数値記録など、信頼性の証明が必要な現場の要求にお応えできる体制を整えています。品質要件の詳細はご相談ください。

Q11. 小ロット・1点ものでも対応してもらえますか?

A.

1点からご対応しています。量産品にはPTA(粉体プラズマ自動溶接装置)による自動溶接が向いていますが、試作・単品・小ロットの場合は酸素アセチレンやTIG溶接で対応可能です。「まず1個試してみたい」というご要望もお気軽にご相談ください。

CONTACT

048-933-9799

メールからのお問い合わせ

お見積り・ご相談・ご質問など
お気軽にご相談ください