コルモノイ・ハステロイ・インコネル
ニッケルベース

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01

コルモノイ

高硬度で摩耗環境に挑む耐摩耗ニッケル基自溶性合金

コルモノイとは

ニッケルを主成分とし、ボロン、シリコンを含んだ合金で溶射材料としても扱われています。ステライトやトリバロイと同様に、低摩擦係数で高い硬さを持っています。特に融点が低いことと自溶作用による結合のため、FC材など、溶接による硬化肉盛が困難な材料への適用として有効です。
HRC40~60まで#4、#5、#56、#6の4種類のラインナップが標準です。

コルモノイの種類(代表例)

コルモノイNo.4 低硬度で、耐衝撃性や機械加工性が求められる場合に有効。
コルモノイNo.5 / 56 耐摩耗性と耐衝撃性のバランスに優れ、一般的な肉盛補修に幅広く使用される。
コルモノイNo.56 耐摩耗性と耐衝撃性のバランスに優れ、一般的な肉盛補修に幅広く使用される。
コルモノイNo.6 高硬度タイプで最も一般的に用いられる。耐摩耗性、耐食性、耐熱性に特に優れている。

コルモノイの化学的成分(重量%)(代表例)

品名 Ni
(ニッケル)
Cr
(クロム)
B
(ホウ素)
Si
(ケイ素)
Fe
(鉄)
C
(炭素)
特徴
No.4 Balance 8.0 - 11.0 1.5 - 2.5 3.0 - 4.0 < 3.5 0.3-0.5 延性に優れ、機械加工可能。衝撃に強い
No.5 Balance 10.0 - 13.0 1.5 - 2.5 3.2 - 4.5 < 4.25 0.4-0.6 耐摩耗性、耐食性のバランスが良い
No.56 Balance 13.5 - 16.5 2.75 - 3.5 3.25 - 4.5 < 4.75 0.6 - 0.85 耐衝撃性、耐摩耗性のバランス
No.6 Balance 11.5 - 14.5 2.5 - 3.25 3.0-5.0 < 4.5 0.6-0.8 代表的なグレード。耐摩耗・耐食・耐熱性大

コルモノイの物理的・機械的性質

優れた耐摩耗性 金属間摩耗や粒子摩耗に非常に強い。硬化相としてホウ化クロムが組織中に均一に分散しており、ダイヤモンドに次ぐと言われるほどの硬度(例:No.6:HRC 56-61)を有する。
高い耐食・耐熱性 ニッケル基合金として、酸、海水、高温環境下(最大600℃超)でも優れた安定性を発揮する。
自溶性 加熱により溶融・融合する性質があり、母材との接合強度が非常に高く、肉盛溶接(硬化層)に適している。

コルモノイの主な用途例

押出機・ミキサー部品

プラスチックやゴムの製造ラインで使用されるスクリュー、シリンダー、撹拌羽根、ミキサー羽根の耐摩耗・耐食コーティング

ガラス産業

ガラス金型、プランジャーなどの高温・摩耗環境下の部品

産業・機械部品

ポンプスリーブ、ロータリーバルブ、コンベアスクリュー、ブッシュ、カムシャフト

その他

ゴミ焼却・ボイラー

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02

ハステロイ

過酷な腐食環境又は高温下で力を発揮するニッケル合金

ハステロイとは

ハステロイ(Hastelloy)は、ニッケルを主成分とし、モリブデンやクロムを添加した耐食・耐熱性に極めて優れた高機能ニッケル合金です。酸や塩類、高温下などの過酷な腐食環境下でも強力な耐久性を発揮します。

ハステロイの種類(代表例)

ハステロイ C-276
(Hastelloy C-276)
最も一般的に用いられる。高い耐食性を持ち、特に湿った塩素ガスや塩化物イオンによる孔食・隙間腐食に強い。
ハステロイ C-22
(Hastelloy C-22)
C-276の改良版で、クロム含有量(21%)が高く、酸化性・還元性どちらの環境下でも優れた耐食性を発揮する。

ハステロイの化学的成分(重量%)(代表例)

品名 Ni
(ニッケル)
Mo
(モリブデン)
Cr
(クロム)
Fe
(鉄)
W
(タングステン)
Co
(コバルト)
C
(炭素)
特徴
C-276 Balance 15.0 - 17.0 14.5 - 16.5 4.0 - 7.0 3.0 - 4.5 < 2.5 < 0.01 最も一般的、孔食・隙間
腐食に強い
C-22 Balance 12.5 - 14.5 20.0 - 22.5 2.0 - 6.0 2.5 - 3.5 < 2.5 < 0.01 C-276より耐食性が高い

ハステロイの物理的・機械的性質

高耐食性 酸性・中性・アルカリ性問わず、腐食性の高い環境で高い耐性を発揮する。特に塩化物イオンによる孔食や隙間腐食に強い。
高耐熱性・高温強度 1,000℃を超える高温下でも高い機械的強度を維持することができる。

ハステロイの主な用途例

化学・プラント産業

強酸性(塩酸、硫酸)の薬品を取り扱う容器、パイプ、攪拌機、熱交換器、反応器、配管

環境・廃棄物処理

有害廃棄物や化学薬品の焼却設備、排煙脱硫装置

石油・ガス産業

海水、硫化水素などの腐食性流体を扱う配管やバルブ

航空宇宙・ガスタービン

航空機のエンジン部品(燃焼室や排気系)など、耐熱性と耐酸化性が求められる部品

半導体・医療

高い清浄性と耐薬品性が求められる製造装置や配管

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03

インコネル

極めて高い耐熱性、耐食性に効果を発揮するニッケル合金

インコネルとは

インコネル(Inconel)は、ニッケルを主成分とし、クロムや鉄などを加えた高機能な「ニッケル基超合金」です。極めて優れた耐熱性(高温での高強度)と耐食性を持ち、過酷な高温・高圧環境で利用されます。加工硬化しやすく、非常に硬いため、金属加工では「難削材」として知られています。

インコネルの種類(代表例)

インコネル625 クロム、モリブデン、ニオブを含み、耐食性に優れている。
インコネル718 析出硬化型で、非常に高い高温強度を持つ。航空機エンジンやガスタービンに使用される。

インコネルの化学的成分(重量%)(代表例)

品名 Ni
(ニッケル)
Cr
(クロム)
Fe
(鉄)
Mo
(モリブデン)
Nb
(+Ta)
Co
(コバルト)
Al
(アルミニウム)
Ti
(チタン)
特徴
625 Balance 20.0 - 23.0 < 5.0 8.0 - 10.0 3.15 - 4.15 ≦ 1.0 ≦ 0.4 ≦ 0.4 海水や酸に非常に強く、溶接性も比較的良好。
718 Balance 17.0 - 21.0 Balance 2.8-3.3 4.75-5.5 ≦ 1.0 0.2-0.8 0.65-1.15 析出硬化により700℃まで強度が落ちない。

インコネルの物理的・機械的性質

高耐熱性・高温強度 ステンレスが強度を維持できるのは約500℃までだが、インコネルは700℃以上の環境下でも高い強度を維持し、高温でのクリープ(塑性変形)に極めて強い。
高耐食性・耐酸化性 クロムの含有により、1000℃程度の高温雰囲気下でも酸化や腐食を防ぐ(特に625や600)。酸や塩化物に対しても高い耐性を持つ。
低熱伝導率 熱が伝わりにくく、切削加工時に熱が工具にこもりやすいため、工具の摩耗や損傷が激しい難削材として知られる。

インコネルの主な用途例

航空宇宙産業

ジェットエンジンのブレード、燃焼器、ノズル、宇宙船・ロケットの耐熱構造部品

エネルギー・発電プラント

ガスタービン、蒸気タービン、原子力発電所の配管、排ガス熱交換器

化学・石油化学産業

腐食性の高い酸や高圧・高温環境下にある化学反応器、熱交換器

自動車・モータースポーツ

高温になるターボチャージャー、ハイパフォーマンス車のマフラー(エキゾーストマニホールド)

その他

ごみ焼却炉、海洋産業、医療機器の殺菌器(高耐食性が必要な場所)

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よくあるご質問(Q&A)
硬化肉盛り溶接の受託加工について

Q1. 硬化肉盛り溶接とは何ですか?普通の溶接と何が違うのですか?

A.

硬化肉盛り(ハードフェイシング)は、摩耗・腐食・熱などに強い特殊合金を母材の表面に溶融被覆する溶接技術です。通常の溶接が「部品同士をつなぐ」目的であるのに対し、硬化肉盛りは「表面の耐久性を高める」ことを目的としています。コバルト合金・ニッケル合金などの高性能材料を被覆することで、摩耗寿命の延長や腐食環境への耐性向上が期待できます。

Q2. どのような部品・用途に向いていますか?

A.

摩耗・焼き付き・腐食・熱の影響を受けやすい部品全般に有効です。具体的には、高温高圧バルブ(スライドバルブ・排気弁)、スクリュー、ポンプ部品、各種ロール、ローラーなど生産ラインの消耗部品が代表例です。「交換するたびにラインを止めるのがコスト的に痛い」「点検サイクルの間、確実に耐えてほしい」という場面でよくご相談をいただきます。

Q3. 加工できるかどうか、まず相談だけでもできますか?

A.

もちろんです。ただし「できますか?」とだけお問い合わせいただいても、図面や現物を拝見しないとお答えできないケースが多いのが実情です。素材・形状・使用環境・要求精度などをできる限りお教えいただけると、初回のご回答がより具体的になります。まずはお気軽にご連絡ください。

Q4. 材料(合金の種類)はどうやって選べばよいですか?自分では判断できません。

A.

材料選定は「摩耗の形態」「使用温度」「腐食原因」などの要素を総合的に判断します。例えば、摩耗でお困りの場合、焼き付き・かじりが激しい環境の場合、塩酸や硫酸などの強酸環境の場合、など条件によって様々なご提案となります。設計担当者様が材料を決めていなくても、使用環境の情報をいただければ弊社からご提案することも可能です。

Q5. ステライト・トリバロイ・コルモノイ・ハステロイ・インコネルの違いを教えてください。

A.

それぞれ「効く摩耗・腐食の種類」が異なります。

ステライト:
硬化肉盛りの第一の選択肢です。幅広い耐摩耗・耐食性を持ち、まず最初に検討する合金です。
トリバロイ:
かじり・焼き付きへの耐性が特に優れます。石油・自動車・内燃系バルブなどで実績があります。
コルモノイ:
融点が低く自溶合金の性質から、特殊な母材や形状に適しています。ひっかき摩耗に強く、ニッケルベースで耐食性も備えます。
ハステロイ:
塩酸・硫酸など極めて厳しい腐食環境向けの超耐食合金です。
インコネル:
1000℃を超える環境でも高い強度を維持し、航空宇宙、原子力、化学プラントなどで多用されます。

Q6. 硬化肉盛りをすると、必ず部品の寿命は延びますか?

A.

適切な材料・工法・施工条件を選べば、寿命が延びることはほぼ間違いありません。ただし、初回から最適解が出るとは限らず、実務では試行錯誤を経て結果を出すことも少なくありません。「必ずこれだけ延びる」と数値で断言することは難しいですが、その分、施工後のフィードバックを次の改善につなげる経験と知識を蓄積しています。

Q7. コスト面でのメリットはどのように考えればよいですか?

A.

「加工費 vs 部品交換コスト」で単純比較するだけでなく、「交換のたびにラインを止める時間」「交換作業の人件費」も含めてトータルで評価することをお勧めします。硬化肉盛りの加工費よりも部品をそのまま交換する方が安い場合もあれば、逆に肉盛りで大幅なコストダウンになる場合もあります。評価軸を明確にした上で判断することが重要で、弊社でも費用対効果の考え方についてご相談に応じています。

Q8. 摩耗した部品の「再生」にも対応していますか?

A.

はい、摩耗・損傷した部品への硬化肉盛りによる再生加工のご依頼は近年特に増えています。ただし再生加工は「できるかどうか」の判断が図面や現物を見て初めてわかることが多く、また「再生するコスト」と「新品に交換するコスト」を比較してあえて再生しない方がよいケースもあります。まずはご相談いただき、コストパフォーマンスも含めてご提案します。

Q9. 「ひずみ・変形」が心配です。精度はどこまで保証できますか?

A.

硬化肉盛りでは、溶接時の熱によるひずみ・変形は避けて通れない問題です。弊社では「この形状・このサイズならこのようにひずむ」という長年の施工経験に基づいたノウハウを蓄積しており、ひずみを見越した加工工程を設計した上で施工します。仕上げ精度が必要な場合は、肉盛り後の機械加工も含めたトータルでの工程設計が可能です。

Q10. 航空・原子力など、品質保証が厳しい分野にも対応できますか?

A.

一定期間、確実に耐久することが求められる用途にも対応しています。施工要領書に基づいた品質管理・条件の数値記録など、信頼性の証明が必要な現場の要求にお応えできる体制を整えています。品質要件の詳細はご相談ください。

Q11. 小ロット・1点ものでも対応してもらえますか?

A.

1点からご対応しています。量産品にはPTA(粉体プラズマ自動溶接装置)による自動溶接が向いていますが、試作・単品・小ロットの場合は酸素アセチレンやTIG溶接で対応可能です。「まず1個試してみたい」というご要望もお気軽にご相談ください。

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